リトル・ダッキー

『ダッキー公演終了後』
 
「もう大丈夫なの?目」
  ダッキーが、あなたに心配気な表情で聞きました。
「全然平気。ちょっとびっくりしただけ」
「でも、まだちょっと赤いよ」
「あー、洗顔ジェルを洗い流すときに、間違って洗剤使っちゃったの」
 
  リトル・ダッキーは、小さなあひるのおもちゃです。
  今日はあなたと二人で、のんびりと湯船に浸かっています。
 
「けど、大変だったねー」
「ダッキーが、ナメクジ星人になれ、なんて言うからよ」
「ごめんねー」
  二人はお互いの顔を見つめあい、ちょっと照れたように笑いました。
 
「でも、まぁ。良かったんじゃない?いろんなストーリーとか考えるの、面白かったし」と、あなたが言うと、
「そうだね。僕も『キャプテン・ダッキー』になれたし」と、ダッキーも嬉しそうに応えました。
 
「あと、残る問題はこれだけだね」
  そう言うと、あなたは浴槽の中を指差しました。
「お尻が触ると、痛いのよ」
  あなたが指す先には、浴槽の底にくっついて取れなくなった戦闘機がありました。

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