リトル・ダッキー

『ダッキー VS 暗黒王ジャーク』
 
「銀河歴三万六千年。宇宙は暗黒王ジャークによって支配されていた」
  明かりを消した浴室で、ダッキーの声が響きます。
「そこへ人々を救うために現れた、正義の味方『キャプテン・ダッキー』!!」
  懐中電灯で自分を照らしつつ、ダッキーが勢い良く立ち上がりました。
 
「出たな、ナメクジ星人!」
 
「あのー、この配役、やっぱり私不満なんですけど……」
  全身に洗顔ジェルを塗りたくって体中ヌメヌメのあなたが、納得いかない様子でダッキーと対峙しています。
 
「うるさい、ナメクジ女!これでもくらえー!」
  そう叫んでからダッキーは、「今。今渡して」と小声であなたに合図しました。
「ナメクジ女って……」とブツブツ文句を言いながらあなたが浴槽に隠してあった模型の戦闘機をノロノロとつかもうとしましたが、ジェルで手が滑って取れません。すると……
「アタタタ。洗顔ジェルが目に入った。アタタタタ」
「何やってんだよ、もう」今度はダッキーが浴槽の戦闘機を取ろうとしましたが、なぜかなかなか取れません。
「え?あれ?なんで?なんでだ?」
「アタタタ。目が、アタタタ」
「あ"ー!接着剤がこぼれて、くっついちゃってる。取れないよ、これ。取れないよー」
「アタタタタ。アタタタタ」
「えー、浴槽の底にくっついてるよ、これ。どうしよう?」
「アタタタタタタタタタタ」
  我慢できず、洗顔ジェルを洗い流すために、あなたは洗面所に走っていきました。
 
「…お、思い知ったか、ナメクジ星人」
 
  こうして宇宙は、暗黒王ジャークの魔の手から救われたのでした。

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