リトル・ダッキー

『出会いサイト』

  ある日、いつものようにダッキーが湯船に漂っていると、ぽちゃりとクモが落ちてきました。クモはしばらく水面でもがいていましたが、やがて動かなくなりました。
  この時、ダッキーは悟りました。人生のなんと気まぐれで儚いことか。

「僕はまだ、生きていたい。やりたいことがあるんだ!」
  とダッキーは叫んでみましたが、何がやりたいのかはいまいちよく分かりませんでしたので、クモの死骸の周りを漂いながらなんとなく考えた結果、「そうだ、恋人を作ろう!」ということになりました。

  そこで、ダッキーはあなたの携帯電話を勝手に使い、『出会いサイト』に登録することにしました。
「名前…、『リトル・ダッキー』、と。身長は、えーと、『185センチ』にしちゃおうかな。体重『70キロ』。趣味は、『冒険』かな。えーと、年齢…職業…収入…」

  不意にダッキーは再び先程感じたような底知れぬ虚無感に襲われ、あなたの携帯電話を湯船に投げ入れました。

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