リトル・ダッキー

『ダイエット』

 リトル・ダッキーはちいさなあひるのおもちゃです。
  お風呂に入って、あなたはダッキーに話しかけました。
 
「ねぇダッキー。私、太ってるかなぁ?」
  ダッキーは何も答えません。
  あなたは、聞こえなかったのかな?と思い、
「ねぇダッキー。私、太ってると思う?」
と聞きなおしましたが、やっぱりダッキーは返事をしません。
 
「ねぇ、ダッキー?聞いてる?ダッキー」

 あなたは、ちょっと甘えた声でダッキーにすり寄って行きましたが、やっぱり何も答えてくれません。ダッキーはまるで、あひるのおもちゃにでもなったかのようでした。
 
「ダッキー…」
 
  あなたは、ダッキーがあなたの事を太っていると思っているんではないかと思い、ちょっと悲しくなりました。
 
  その時、あなたは気がつきました。あなたがダッキーに「太っている?」と聞いた時、「太ってないよ」とダッキーに答えて欲しかったことに。そしてそれは、あなたが自分自身が太ってきたことに対する不安をダッキーに打ち消して欲しかったのだということだということにも。
 
 そうしてあなたは、ダッキーがあなたのことを太っていると思っているから「太ってないよ」と答えてくれなかったのではなく、その質問に答えないことで、あなたが太っているかどうかなんて気にしてないよと答えてくれたことに気付き、そんなダッキーのためにもあなたは「やっぱりこれから少しダイエットをしようかな」と思ったのでした。


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