【空想幾何学小説】
作 ・ 久慈 誠

『三段目』

いつも、三段目でつまづく。
一段目でなく、四段目でなく、ましてや十段目でもなく、必ず三段目。
一段目、二段目の後に四段目が来ていれば問題がないのだが、世の中の摂理はそんな不条理を許さない。
一段目から始め、二段目をこなしたら、そこで一旦止まる。そして、三段目でなく、また一段から始める。一、二、休み。一、二、休み。
あせって三段目を上り急ぐから、つまづくのだ。
三段目にたどり着かなければ、三段目でつまづくことはない。

四段目にたどり着けないことはこの際問題ではない。


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