リトル・ダッキー

『マイクロ小説作者のご挨拶』
 
「ほら、早く出ろよー」
  ダッキーが促すと、後ろから身長185センチであごひげを生やしたホヘ顔の男がのっそりと現れました。
「ほら、ぐずぐずすんなよ、作者ー」
 
  ダッキーは、小さなあひるのおもちゃです。連載が途切れがちな『マイクロ小説』というお話の主人公です。
  「作者」とはもちろん、このお話の書き手である、自称『日曜アーティスト』のTOMAKIです。
 
「なんか、言うことあるんだろー?早く!」
「あ、はぃ。わかりました」作者がぼそぼそとしゃべりだしました。
「あのー、ちょっと、しばらくマイクロ小説お休みしててスイマセンでした」
「そうそう、ちゃんと言えるじゃねぇか」
  ダッキーが、ペシペシと羽で作者の肩をたたきます。
 
「で、何で新作書かなかったんだっけ?」
「え?あ、あのー。ずっと待画作ってました……」
「待受画像作ってたんだよな?作者が。……マイクロ小説の作者が」
「……」
 
「で、ようやく目標のダウンロード数到達した、と。」
「はい、一応。1万ダウンロード行きましたので……」そこでチラっと、作者がダッキーを見ました。
「すげーじゃねぇか。2ヶ月ちょっとで1万だろ?」と、ダッキーが笑いかけると、「あ、はい」と、作者もちょっと嬉しそうに笑いました。
 
「じゃ、もう良いよな?」ドスの効いた声で、ダッキーが作者を睨み付けながらこう言うと、「あ、は…はい」と、笑みが吹き飛んだ作者が、視線を逸らしながら小さく答えました。
 
「良かったじゃねぇか、マイクロ小説、再開で」
「……」
「じゃ、飲み行くぞ、コラ、作者」
 
  そして、陽気なダッキーと怯えた作者は、夜の恵比寿に消えていきました。
 

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