「じゃあ、なんで僕のクチバシは長いの?」と、またダッキーは聞きました。
「それはね、みんなからキスをされるためよ」
ゆず湯の素を指に付けて、そーっと舐めようとしながらあなたは答えました。
「でも僕ね、キスしたことないんだよ」
とダッキーがそっと打ち明けましたが、あなたはゆず湯の素があまりに苦くて舌がビリビリ痺れていたので聞いていませんでした。
「僕の目は何でこんなに離れているの?」
「それはね、好きな人がどこにいても見えるようによ」
舌の感覚がないまま、よもぎ入り薬用入浴剤の袋を覗き込み、あなたは答えました。
「なんで僕の手は羽根だらけなの?」
ダッキーがこう聞いた時、あなたはおそるおそるよもぎ入り薬用入浴剤のついた緑の指を舐めようとしているところでした。
「それはね、ふわふわのあなたを皆が抱きしめるためよ」
こう答えるやいなや、よもぎ入り薬用入浴剤がおいしいと知ったあなたは、袋ごとベロベロと入浴剤を食べ始めました。
「ふーん、そうなのか」
ダッキーは、自分のことが少し分かったような気がしました。