「相変わらずだなぁ」とダッキーが呟いた時、突然強い風が吹いてきてダッキーはぐうぅぅんぐるぐるぐると飛ばされてしまいました。
びっくりしたダッキーがようやく体制を立て直した時、ダッキーは見知らぬ山の中を飛んでいました。
「え?え?どこだここ?」とダッキーが辺りを見回すと、「キェーン、キェーン」と不気味な鳴き声で巨大な鳥がものすごいスピードでこっちに向かってくるところでした。
どうやって逃げたのか分かりませんが、ようやく怪鳥を振り切った時、ダッキーは海の上を飛んでいました。見渡す限り、陸地も島影も見えません。心細くなって、ダッキーは飛びながら、ちょっとだけ泣きました。
一体、どのくらい飛んでいたでしょう。お腹が空き、めまいがしてきましたが、飛ぶのを止めることはできません。飛びつづけなければ、海に落ちてしまいます。そしたら多分、二度と飛べなくなるでしょう。
「ダッキー、ダッキー…」
遠くから、ダッキーを呼ぶあなたの声が聞こえてきました。
ダッキーは、それが自分を呼ぶ天国からの声だという事が分かっていました。もう、終わりなのかと思ったら、少しさびしくなりました。
もっとあなたとお話がしたかったな、とちょっとだけ思いました。
そして、ダッキーは力突きて、海に落ちました。
気が付くと、ダッキーはお風呂場にいました。
「ねぇ、ダッキー。ちょっと聞いてくれない?」
あなたが、体も流さずにザブンと浴槽に入ってきました。
リトル・ダッキーはちいさなあひるのおもちゃです。
今日も元気に、お風呂に浮かんであなたの話を聞いています。